むめやだより 4月
先週末に期間限定販売で出店させていただいた横浜三溪園は大勢のお花見客で賑わっていました。
写真は三溪園の外苑の写真です。
桜前線は東北を北上中ですが、今週は残念ながらぐずついたお天気が続くようです。
桜前線北上中の雨は花の開花を促す「催花雨」ともいうそうなので、これから見頃を迎えるところの桜には恵の雨。
カラカラに乾燥しきっていた少し前を思えば、潤いも必要。
菜種梅雨が明けるのを静かに待つといたしましょう。
さて、きょうは梅と桜の花くらべでもしてみたいと思います。
平安時代中期に編纂された「古今和歌集」では花といえば桜です。
しかし奈良時代は唐文化崇拝の風潮にありました。
その頃の桜は山に自生する山桜でしたが、唐から伝わる様々な文化と共に貴族の間で中国原産の梅が珍重されていました。
貴族たちはこぞって庭に梅を植え鑑賞していたようです。
「万葉集」では梅の歌が約120首、桜は40首余りだそうです。
梅といえば太宰府に左遷されてしまった菅原道真の「飛梅伝説」が有名です。
遣唐使を廃止し国風文化のきっかけを作ったとされるのも菅原道真です。
日本人の心が中国原産の梅から桜に移ろい、平安時代中期を過ぎると花といえば桜を指すようになりました。
貴族の間で桜の花見が急速に広まり、桜は庭造りに欠かせなくなったそうです。
お花見の時季になると美しく美味しい和菓子をいただきたくなります。
桜のお花見が江戸時代には庶民の行楽となり、いま私達も毎年楽しんでいます。
梅はやや影が薄くなってしまったようですが、和菓子の場合はやや梅に軍配が上がるようです。
生菓子、焼き菓子、落雁などの押物での種類は桜も梅もとてもたくさんありますが、松竹梅の組み合わせで慶事に使われるように、梅の吉祥性は桜にはない魅力と思われます。
そして花弁が割れている桜より梅は造形がしやすいという利点もあったのではないでしょうか。
菓銘としても梅はよく使われています。
有名なところでは、とらやの羊羹「夜の梅」。切り口の小豆を夜の闇に咲く梅に見立てつけられた菓銘です。寒中に咲く紅梅をかたどった「寒紅梅」。
「福梅」「梅の花」「梅かさね」「かこい梅」「雪梅」「梅が香」「匂梅」「春告草」「梅ヶ枝餅」・・・
私も自家製梅酒で作るお菓子の名を考える際に梅のついた名は驚くほど多く、商標登録されていない名を考えるのに苦労しました。やっと付けた名が「ひなた梅」です。
梅酒を使い、寒天で固め切り分け、粉砂糖を塗して、日向ぼっこをして仕上げます。
穏やかな時間を過ごしたお菓子でのんびりとお茶の時間を楽しんでいただけたらと思って名付けました。
あらあら、どうも梅贔屓が隠しきれないうえに「ひなた梅」の話まで。
満開の美しさ、散り際の花吹雪、儚くもあり潔い桜の魅力に浸ることにして、今日はこれくらいにしておきます。
お読みいただきありがとうございました。
今日から新年度がスタートしましたね。
皆さまのますますのご健勝を心よりお祈り申し上げます。